(07/12/17 e-mail)

12月に入り10日間ほど沖縄に旅行に行ってきました。
僕は初めての沖縄です。最初に目指したのは、とりあえず小さな島ということで鳩間島を選びました。島一周を徒歩で1時間くらいで回れ、人口も70人ほどのようです。海水温も低くはありましたが友人からシュノーケリングのセットを借り東京からわざわざ運んできたので気合を入れ泳ぎました。全く期待していなかったがビックリ、たくさんの奇麗な魚が見れたのです。シュノーケルは初めての体験でありましたが、これは病み付きになりそうです。今から海人になるのは遅いでしょうか。また鳩間島の泊まった民宿は偶然にも知人の女性も利用していることが判明しました。3日後には少し東に向かい石垣島でも寒風の中(もちろんだれも泳いでない)海に潜って唇が紫色になるくらい震えながら青い魚たちを見たりしながら過ごしました。
後半は具志頭でのボルダリングや北の方でスポーツルートを登ったりしました。久しぶり? 初めて?目的のない旅をしたような気がします。また体重のことも気にせず食いまくっていたら過去最高体重の60キロになってしまいましたが、沖縄料理があまりに美味しかったので仕方ないしょう。
さてグリーンランドの記録が今度は地上波で1月7日、夜10時から11時まで、NHKスペシャルで放映予定です。時間がありましたらご覧ください。



(07/11/28 e-mail)

のんびり近所の山を歩くと、昨年よりも沢山のドングリが落ちていることに気がつく。
山の中に食料が豊富なのだろうか猿などもあまり下までは降りてこない。我家の裏の柿は猿などに取られず良く実っている。気温が低く北風も吹いているので柿を100個以上皮をむき吊るした。ここ数年は温暖なせいでカビが生えて失敗する確率が高かったが今年は成功しそうだ。
柿は食べると体を冷やすと言われているが干柿はどうなのだろうか。山での行動食としては軽く、ビタミンCも豊富そうだし最適に思えるのだが。僕もクライミングでは市販の栄養価が高い行動食を利用する機会が多いが、時には昔からある携帯食を使うと登りに深みを感じられる。
さてこの冬はどんな行動食でどんな登山をしようか。
(大変だ。これを書いている今現在、サルに大根と白菜をかじられたと外で妻が大騒ぎしている)。
干柿

(07/11/08 e-mail)

群馬県の西上州の一本岩という岩峰に初登頂しました。
2年前、山岳雑誌に紹介されてから気になっていました。「脆いとは書いてあるが、こんな魅力的な形をした山を登らないわけにはいかない」すぐに意気投合した知人であり何年にもわたって色々な岩をルート開拓してきた大内尚樹さんと登りに行きました。
高立という集落から車で林道を進むと立派な100メートルはあると思われる岩峰が目に飛び込んできます。まさにクライマーのためにあるような山です。そのうえこれが未踏峰とは逃すことはできないぞと思ってしまいました。
ザックに道具を詰め込みいざ出発。岩にたどり着くとなんとボルトが何本も設置されている。すでに先を越されたかとがっかりしながらも、そこを登ってみると噂どおりのボロボロの岩。どのホールドも全く信用がおけない。しかし20メートルほど登ると嬉しいことにルートは途中で終わっていました。あまりの脆さに諦めたのでしょう。
僕らはいったん降りクラックの発達し標高差少ない南側から攻めることにしました。ほとんど岩と思えない垂直の砂利のような悪場を大内さんが流石の動きで登ります。それから2日、わずか60メートルのルートを各自が少しづつ「ミスして落ちたら死ぬ」登りで藪に覆われた頂にたどり着きました。ルート名は「錦木」なんと今年はグリーンランドに続き2つ目の前人未到?の頂に成功したのです。


(07/10/22 e-mail)

実はグリーンランドのクライミングから帰ってから少しモチベーションが落ちていました。岩も触らなかったし走りもしませんでした。燃焼したわけでもないのに気が抜けたな状態でした。ついに僕も終わったかと思ってしまうぐらいです。しかし最近になって俄然登る気になってきたのです。もちろんその理由は解りませんが、暇にまかせ知人の養豚農家に遊びに行ったり、台風の影響で変化してしまった沢を散策し自然の破壊力の凄さを感じたりと、少しいつもと違う行動をしたせいでしょうか。
子豚を含め1000頭近くいる養豚場。迫力満点の親豚。母親にしがみつき乳を吸う子豚。彼らはけして生き方を選択できないし、生きられる時間も短いのでしょう。しかし勝手な思い込みでしょうが懸命さを感じられる光景でした。数日後には動物園に遊びに行きました。個々の体の美しさは十分に眺める価値があったのですが、何故かこちらの生き物の方が抜け殻のような姿にも見えてしまったのは確かです。
川では以前には水の流れで登れなかったボルダーが、台風の影響で砂が堆積し、取り付けるようになった場所などがあります。これを逃したら1年後には登れなくなってしまうかもしれないので、そこで遊んだりしています。また最近では西上州の脆い岩峰でスリルを味わっています。
グリーンランドのビックウォールクライミング関連では11月15日に東京都山岳連盟の関係で報告会?があります。11月18日はNHKのBS-hi(見れる人は少ないかな)で100分ぐらい放送されるそうです。NHKスペシャルは日時は不明です。


(07/09/26 e-mail)

今年の最大の目標だったグリーンランドのビックウォールが成功し、現在は空っぽ状態です。
僕の一番つらい時期ともいえます。とりあえず無理やり夢?課題?を探すよりも、自然に次の山や岩や雪が頭に浮かぶまで、じっくり待っても良いかなと思っています。ここ数年は急ぎすぎているので、気持ちに体が付いていかなかったり、逆に体に気持ちが付いていかないことさえ生じています。
このさいまったく違った趣味に、挑戦してもよいでしょうが、他には特別興味もないので、やはり山になるでしょう。
海外に課題を探すより国内で冒険性があり面白いかもしれません。長期単独縦走など今まで30年登ってきても試みなかった分野で遊んでも良いかなと思ったりしています。
なお、グリーンランドの登攀の記録は10月15日発売の岳人に載りますので読んでみてください。また年末にはNHKで放送される予定です。
蜂の子
蜂の子

(07/08/28 e-mail)

東グリーンランド、北緯71度付近のミルネ島でのビックウォールの登攀を終え帰国しました。
8月16日 夜の11時、未踏の頂にたどり着きました。ロープを外すことの可能なぐらい広々し、名もない山々が見渡せ、冷気が漂っている素晴らしい頂でした。
登攀には17日も要しましたが、今まで経験してきたような体力、技術、精神をぎりぎりまで追い込まれるような岩壁でもなかったので、頂きでも極度の興奮状態にはなりませんでした。しかし今までは感じられなかった静かな幸せを得られました。それは20代前半から一度は訪れてみたいと思っていた土地での成功と、攻撃的ではありませんが、その山にふさわしい良いルートから初登頂できたことへの幸せだと思います。
アメリカの乾いた岩、ヨーロッパアルプスの山々、ぺルーアンデスの6000メートル峰、パタゴニアの風、パキスタンのビックウォールに8000メートル峰、中国やネパールのヒマラヤの峰々、本当に世界中を旅してきましたが、今まで願っていてもなかなかチャンスがなかったグリーンランドで登山ができ嬉しく思っています。

(07/07/19 e-mail)

雨が続き、岩が濡れているのでグリーンランドへのトレーニングもできない。そこで雨でも影響のない沢登りに行った。
大菩薩嶺に突き上げる短い沢だが、時々現れるきれいなナメ滝を楽しんだ。しかしまもなくグリーンランドでの本番をむかえるというのに、ちょっと危険な目に逢ってしまいました。ひとつはヌルヌルの滝でのこと、ロープも持ってきていないので今回は無理せず下降しようとしたとたん、足を取られ、あっという間に滝壺に向け3メートルほど落下。無事ではあったが、もう少しで足首をひねるところでした。もうひとつは登山道に合流後、速足で歩いていていました。そこでのんきにおしりを振りながらゆっくり歩く真っ黒い熊に追いついてしまったのです。あわててヘルメットを装着し歌を歌いながら改めて前進したのです。
無事に沢登りを切り抜けたところで、グリーンランドの、ビックウオールクライミングに出かけてきます。岩壁の大きさは2005年の中国のポタラの1.5倍、約1300メートルぐらいです。しかし今回はソロではなく3人で向かうので多少気が楽です。約40日間の旅になりますが、そのうち20日を登攀に充てる予定です。帰国は9月上旬になると思います。多分、極北の嵐に苦しめられるでしょうが、いつも通りの強いモチベーションを維持しながら、ぎりぎりまで頑張り、美しい景色が広がるだろう頂を目指したいと思っています。もちろん頂を目指すだけではなく、なるべくフリーでエイドを多用せず、また自分達らしい美しいラインから満足のいくクライミングを目指し、この冒険を満喫したいと考えています。

(07/06/28 e-mail)

最近は、グリーンランドのビックウォールに向けてトレーニングし、また道具を整理したりもしています。
グリーンランドを想定し花崗岩を登ったり、荷揚げの練習をしたり、我が家にどんな道具が揃っているのかを、もう一度点検しています。その中で久しぶりに、二人用のポーターレッジ(岩壁用ベッド)を広げてみようとしたらチーズのような匂いがしているではありませんか。
2001年のパキスタンのビックウォール以来、使っていなかったせいかカビのようなものが繁殖していたのかもしれません。急きょ、乾かすため組み立て、吊るしました。
それにしてもこの不安定極まりないが、ビックウォールには欠かせないベットに今までに何日寝たのでしょうか。多分100日以上。若いころは1時間かけても組み立てられなかったり、またトイレにも苦労しました。寝ている最中にポールが折れペシャンコになった事もあります。嵐をやり過ごすために狭い空間に何日も閉じ込められた経験もあります。
しかしこのポーターレッジで寝ていると、まさに垂直の旅行の気分を味わえ幸せになれるのです。グリーンランドではこのベットを何日使うかは解りませんが、気分転換のために難しくない小説でも持ち込んで、夜を過ごしたいと思っています。

(07/05/26 e-mail)

グリーンランドでの大岩壁を探す旅行から帰国しました。
成田、ニューヨーク、そしてアイスランドのレイキャビックへと、今までにない長い飛行です。そこからさらに東へ2時間飛ぶと、小さな流氷、そしてわずかにグリーンランドの山並みが見え始めます。それだけで十分興奮です。グリーンランドの東部クルスクからさらに北への2時間は、まさに感動的な風景が続きました。海は白く凍りつき、色々な形状の山々がどこまでも広がっていました。それらのほとんどの山々が名前も無く、また未踏峰です。
そして最大の目的、ビックウォール探しに、ヘリコプターに乗りこみフライト。地図上では1000メートル級の岩壁の存在を示していましたが、今年の夏を決定づける重要な時間ということもあり、わずかですが緊張しました。
氷河を見下ろしながら深い谷を進むと、600メートル級の岩壁が現れはじめました。さらに奥へと入ると岩は恐ろしく巨大になりました。僕らはそこで最も大きいと思われる1200メートル以上の大岩壁に注目しました。それは世界のビックウォールを見てきた僕でも驚くほどの素晴らしいものでした。願っていたものが、そこにあったのです。僕らは、オルカ と仮の名前を付けたこの岩壁に、この夏挑みます。

(07/05/09 e-mail)

まもなく世界最大の島として有名なグリーンランドに行きます。今回の旅は夏に予定している、ビックウォールクライミングに向けての偵察です。僕らが考えているのは、あまり外国人が訪れることのない東海岸で、北極圏にも入っています。多分まもなく白夜になることでしょう。
昔から一度は訪れてみたかった土地ですが、僕のクライミングライフを考えても今が一番グリーンランドに向うのに、適した時期のような気もします。大きく見栄えもする遣り甲斐のある壁を見つけたいと思います。小さくても、易しくても困ってしまいます。
大きな寝袋とダウンジャケット、睡眠不足にならないようにアイマスクをザックに詰め出発したいと思います。

(07/04/15 e-mail)

結局、今シーズン長いこと狙っていた、課題のフリールートは登れなかった。全く残念ではあるが、これが僕の現在の実力なのだろう。次のシーズンには再挑戦したいが、最近、目標設定が高すぎるのか、成功率が悪い気がする。
登れる可能性が低い方が、挑戦としては面白いのは確かだが・・・
しばらくは、その敗退から脱力感もあったが、この夏に控えている極北のビックウォールに気持を集中しはじめている。今回も目標は大きく出来れば誰も触れていない未踏の大岩壁に美しいルートから頂に立ちたいと思っている。また鯨や白熊などを見られるのではと、他の楽しみもいっぱいだ。
話は変わるが、春になりトレーニングの合間に山菜取りに出かける時間が徐々に多くなってきた。ワラビ、タラの芽、などだ。僕はあまり取れないが妻などは1時間でワラビをスーパーの袋に一杯にする。残念ながら興味の深さか、集中力か、才能なのかは解らないけど、いつも負けている。しかしその妻も竹の子だけは普通ならば、埋まった地面から頭を出していないものまでも見つけるのだが、今年は猪に全て根こそぎ持ってかれている。

那須塩原

(07/03/18 e-mail)

3月に入り山から急速に雪が消えています。我家では梅の花は良いとして、何故かイチゴの花まで咲き始めてしまい、まさに気候としては異常事態です。近所では2月でも熊が出没していました。今年の夏は1988年のバフィン島以来になる極北でのビックウォールに挑戦するかもしれませんが、そこの土地も温暖化の影響で目に見えて変化しはじめているのでしょう。
さて最近の成果としては、フリークライミングでは僕にとっては厳しい5.12のフェースルートなどには成功したりはしていますが、この乾燥している時期に狙っている大きな課題は、いまだに登れず次のシーズンに持ち越しそうで怖いです。本当にわずかな事で登れない・・・
冬山では、あまり登られない南アルプス鋸岳中間ルンゼから人気の上ニゴリ沢を久しぶりにソロしたり、妻と向った錫杖岳の3ルンゼはピクニック気分で楽しめる良いルートでした。また同じ錫杖岳の中央稜付近ではとても奮闘させられるルートも体験しました。
最近は、登れる、登れないは別として、無理して決定したのではない、心の底から登りたい目標に、突き進んでいるのが自分の中でも解るので、とても気持良く生活できています。

追伸
僕達を手術してくださった金田正樹先生が凍傷についての本「感謝されない医者」を出しました。凍傷に興味?ある人は読んでみてください。




北アルプス錫杖中央稜右岩壁

(07/02/11 e-mail)

まさにプロジェクトX。どうしても成功させたいルートがあり、ある岩場に頻繁に通っている。しかし登れない。
テーピング、ストレッチ、液体チョークを塗り、動きをイメージ、呼吸を整えスタート。こんな事を何回繰り返しただろう。いつもの一連の動作、しかし爆発的な力を発揮しても左手がわずか3、4センチ先のホールドに届かない。いつも10メートルほど登った同じ核心部で落ちてしまうのだ。何がいけないのか?右手の引きつけ?右足股関節の柔軟性?
いつかは登れるだろうが、できれば今シーズン中に成功させたい。暖かくなり湿度が増す前の3月中が勝負だ。
最近は成功後の祝賀まで考えているのに。回転すしで皿の色を気にせず、食べたいだけ食べる計画まで出来ているのだが。
と言うわけで冬は山も登らなければならないし、岩も登らなければならないので忙しくて仕方がないが、明確な目標があるのも幸せなことだと思う。

ちなみに今月号の岳人にアメリカでのクライミングの旅の報告を書いています。機会があったらご覧んください。

(07/01/04 e-mail)

年末年始は伊豆の城ヶ崎海岸で過ごしました。大雨の日、たくさんの日用品を車に詰め込み出発しました。せっかくパテで修理したはずの車の屋根からは激しい雨漏り、助かったのは運んできたメダカの水槽のなかに水滴が落ちてくれたことでしょう。
城ヶ崎初日、低気圧の影響で大波が押し寄せており迫力満点。白い波を見ていると岩を見ている時よりも静かな興奮をおぼえ、やたら登りたくなったのです。ヒマラヤで少々失った筋肉を取り戻すためプロテインを飲みつつ岩にへばり付いていました。今回は有名なクラシックルートをいくつか遊んだり、昨年の春に濡れていたスコ-ピオンを登ったり、今の僕にはかなり難しい秘奥義というルートに挑戦したりと、それなりに充実しました。少しづつですが以前感じていた上達していく感覚がまた戻ってきた気がします。
なお休養日に2日ほど釣りもしましたが、大物を狙う人々のなかに混じって、僕らは小型メジナを大量に釣り上る事にも成功したのです。