最近、毎日のように次の山について考えています

2001年12月1日 手紙

最近、毎日のように次の山について考えています。目標が決まらず、それに向けてのトレーニングもできない日々は、なぜか無駄な時間を過ごしている様にさえ感じてしまうのです。

確かに昔から私の中での理想のクライミングはあります。7,000メートル以上の高峰に2,000メートル以上の切り立った壁があり、私の持っている能力を最大限に発揮しなければならない氷と岩があるルートを、アルパインスタイルで登ることです。しかし何千という山の中から選び出すのは易しいことではありません。今にも落ちそうなセラックが上部にあったり、掴んだだけで剥がれそうな岩質も良くありません。これらはあまりにも客観的危険性が高すぎます。

時々私は山を選ぶ能力が少ないのではないかと思ったりします。たとえばイギリスのミック・ファウラは、だれが見ても美しくそして難しいルートを選び、アルパインスタイルで登りきるのです。私は体力、テクニック、精神面などはそこそこのレベルを持ってます。しかし最も重要なのはどんな山を登るかだと思ってます。残念ながら何人かのヨーロッパのクライマーたちは私より良い目を持っていると思います。私はあと何年ハードなクライミングが出来るかは分かりませんし、一回一回のクライミングについて、じっくり考え、美しい山を選び、それに向けトレーニングをし、良いラインを私らしいスタイルで登りたい、今それだけを思っています。

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