あまり知られていない私の仕事、富士山の強力の話

2002年1月31日 FAX

今回は、あまり知られていない私の仕事、富士山の強力の話を書きます。

富士山頂の気象庁の観測所への荷上げを始めて10年以上になります。最近「まだ観測しているのですか」と時々質問されますが、レーダー自体は撤去されましたが今も職員が常駐し観測しているのです。

私は、その人たちへ野菜、肉などの食料や手紙などをブルドーザーも上がれないヘリコプターもなかなか近づけない積雪期11月~5月に荷上げします。積雪期は気温マイナス30度、風速30メートルにもなり足元は、スリップしやすいアイスバーンになります。優秀な登山者ならば悪条件の中でも登れないことはないでしょう。
しかし我々が担いでいるのは風圧をまともに受けるダンボールで中には30kgもの荷物が入っています。なかなか楽ではありません。登っている時間そのものは、それほど長くはなくアメリカ製の雪上車で5合目まで送ってもらった後歩き出します。7、8合目の避難小屋まで2時間、ここで少々休憩後、山頂まで2時間と合計4時間から5時間でしょう。

しかしその短時間が時にはヒマラヤの高峰を登っているときよりも辛い事があります。

そもそも私がこの仕事を選んだのはヒマラヤの高峰を登るためのトレーニングとして、また薄い酸素に常に体をならしておくためです。
私は、この強力のおかげで筋力も維持できますし4,000~5,000メートルの山にいきなり登っても高山病になることはありません。しかし月に3度荷上げしてプライベートでフリークライミングや冬期登攀していると休む日が無くなるぐらい登ることになりそれが少々問題です。
この文書を書いているのも富士山へ向う電車の中ですが230回目?の荷上げですが明日の天候だけが今、気になってます。しかし予想では悪天候みたいです。

3月上旬はスライド会のためイギリスに行きます。クライミングも予定してます。

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